第4回 MASTER KEYプロジェクト定例会報告
2020年8月24日(月)17時~19時 ZOOM会議にてRCJと国立がん研究センターとの第4回定例会が行われました。以下概要となります。
定例会内容ポイント
1.研究登録状況について
登録状況は順調に伸びており、MKP参加施設が増えたこともあり、現在1300例を超えている。現在のMKP参加施設は、北海道大、九州大、京都大、東北大と国立がん研究センターで、副試験の登録はMKP登録数の10%前後である。疾病は、軟部肉腫が最も多く、続いてグリオーマ、神経内分泌細胞腫瘍と続くのは以前と同じ状況だ。現在、血液がんの登録も始まっている。
2.研究体制
2021年度から1施設参加予定で、小児がんのレジストリ、副試験を推進することになった。参加企業は現在13社、今後も新たな企業の参加を働きかけている。
レジストリの大きな目的のコントロールデータとして「薬事申請への活用」はPMDAや企業と随時連絡を取り、実装を目指している。
3.副試験状況
現在、企業治験5試験、医師主導治験8試験を実施している。珍しい遺伝子変異でも順調に登録が進んでいるものと進んでいないものがある。
医師主導治験はMKP参加施設以外の施設で実施することもある。
副試験後の状況は、奏功率をエンドポイントとする場合、1年ぐらいで結果が出る。結果がポジティブで、そのまま薬事申請に行くものが半分ぐらい。残りの半分の中には副試験後に改めて企業治験を行うものもある。希少がんの治験ではどうしても単群のデータでの申請になる難しさがあるが、レジストリデータを比較対象とするのがMKPの基本戦略となる。奏功率が50%ぐらいだと確実に承認されるが、30%ぎりぎりだとなかなか難しい。条件付き承認という「仮免」のような承認もある。
4.総括運営委員会報告から
ヒトのがん組織をネズミに植え付けたモデル(JPDx)の研究とコラボして、治験に入る前に薬の効果を予測するプロジェクトを検討中。
データ解析企業とコラボして、遺伝子パネル検査の生データをビッグデータとして利用する解析を検討中。
5.RCJからの質問について
①MKPのHPQ&Aについて 患者側の質問に対して
RCJでは鋭意MKPの仕組みについて広報しておりますが、患者側から、細かい点についての質問が多く寄せられています。また、希少がんセンターに寄せられているMKPに関する問い合わせについてもまとめたもの等、NCCHPのQ&Aに随時更新しながら載せていただくことをお願いしたく思っております。
(NCC)随時お知らせいただければHPを更新したい。
②希少がんの遺伝子検査推進について
希少がん患者からは、パネル検査自体が未だに受けにくい(どこでできるのかがわからない、医師の推奨がない、自由診療であると価格が高い)などの声が聞かれます。MKPにおいてレジストリと副試験を行っていただいていることから、希少がん患者の遺伝子検査について何らかの具体的な推進方法について議論させていただきたく思っております。
(NCC)パネル検査についての情報は、一般的なものを利用していただきたい。国がんHP 遺伝子検査について
とりたてて優遇ということはできないが、現在試験的に実施されているリキッドバイオプシーの解析データでもMKPへの登録が可能である。
③患者側からの声による試験の調整について
RCJには、適応外薬のご相談が多く、昨今遺伝子を特定した臨床試験などの照会が相次いでいます。そうした患者側からの声による試験の実現性についてお伺いしたく思っております。
(NCC)遺伝子変異のグループの要望などあれば、伝えてほしい。企業との調整は必要なので、すべてが治験になるということではないが、努力したい。
新薬だけでなく適応外薬についても、研究論文・データがあれば副試験への採用を製薬会社へ打診できる。
④希少がんに関するオンライン診療・セカンドオピニオンに関してお伺いしたく思っております。
(オンラインセカンドオピニオンができると、遠方まで専門医を訪ねなければならない希少がん患者にとって非常にありがたい。)
(NCC)現在オンラインセカンドオピニオンを準備中。始動できるようになったらお知らせする。