第6回 MASTER KEYプロジェクト定例会報告

2022年2月24日(木)17時~18時20分 ZOOMオンライン会議にて、MASTER KEY Project(MKP)について国立がん研究センター(NCC)およびRCJとの定例会を行いました。以下概要です。

MKP進捗状況

  • レジストリ研究登録は2022年1月末で固形がん2147例、血液がん205例 世界最大の希少がんデータベースとなっている。
  • レジストリ研究の実施体制は、現在国立がん研究センター中央病院、京都大学、北海道大学、九州大学、東北大学、国立成育医療研究センターの6施設であるが、来年度1施設増える予定。参加企業は現在12社であるが、来年度から2企業増える予定。
  • レジストリ―データを利用した薬事申請を検討中
  • 希少がんを対象とした23の副試験を実施中(レジストリ登録患者の約8パーセントに治療機会を提供)ALKやNK/Tcellなど集まりにくいもの、小児がんなど現在MKPホームページ副試験の頁 で「登録中」となっているものは募集しているので、ぜひ皆さんに周知していただきたい。

MKPAsia ATLAS事業

  • 2021年11月末から、日本だけでなく、アジアで協力してより早く治療開発を目指すために始まった。
  • アジアの多くの国ではNGSや全ゲノム検査は行っていないので、国立がん研究センターがNGS、中央病理診断を行っている。

上記に関するQ&A

Q: 中央病理診断を国立がん研究センターで行うのは、キャパシティーの問題があると思う。登録のスピードが速いと、負担が増えるのではないか。海外で独自でできることは委ねていくのか?
A: アジアの施設で実施できないところにプラットフォームを提供するということがATLAS事業のコンセプトだ。将来、施設で病理診断やゲノム解析の機能が十分に備えれば委ねていく予定だが、アジア圏での臨床・ゲノムデータベースを蓄積するという意味もある。

Q: MKP、ATLASを永続的に進めるための資金源はどうするのか?
A: MKP国内は14企業から資金提供を受けて稼動している。アジアについてはATLAS事業の資金で進めている。永続的なものにするには、やはり企業からの資金調達が必要。アジアのレジストリデータの利活用と治験推進が可能ということに対して、企業が賛同いただけることを期待している。
NCC: 日本国内の希少がんに関する研究資金は、各々副試験に配賦されている。プラットフォームとしての希少がん研究体制(MKP)には研究費はついていない。一方ATLAS事業はアジアでの臨床試験展開プラットフォームに国策としてAMED資金がついている。リスク分散させるためにも企業資金が必要と考える。

RCJからのMKPに関する質問

Q: MKP参加施設へ転院しなくてはならない問題→一人でも多くの患者が参加できるようにMKP参加施設外からの参加の推進方法を伺いたい。
NCC: 現時点では、6施設に通院してMKP参加が原則となる。データ収集をするので、臨床研究の支援ができる施設でなければならない。おっしゃる通り、治験に参加するということであれば、MKP施設でもなくてもよい。治験を周知する方法論を考えていくべきである。
NCC: 今できることと近い将来できることがある。
今できることは基本的に6施設+1施設に通院して治療をうけるのが原則、MKP参加施設への紹介を強化すること。近い将来できることとして、コロナの状況から、リモート治験(バーチャルクリニカルトライアル)が進んできている。それが実現できれば、患者さんは全国でスクリーニングして、治験の治療のある時だけ病院に通ってもらう、また治験を完全リモートで行うことも将来可能である。MKPにも取り入れたいと考えている。課題は多いが、全体的にはリモートの流れになっている。

Q: 希少がんであるからこそ「全ゲノム解析」をMKPに取り入れていくことの可能性、時期、方法など?
NCC: 全ゲノムプロジェクトとしてがん種を絞って実施している。希少がんコホートは別の施設で実施している。
NCC: 現在、全ゲノム解析(乳がん、肺がん、希少がん等)の有用性を見たうえでMKPへの展開も検討したい。NGSと比較してより治療につながるものがあれば進めたい。
数年前はNGSが頻繁にできなかったが、現在は実施できる状況になったように、全ゲノム解析も進んでいくものと思われる。

Q: 全ゲノム解析に希少がんは含まれているのか?
NCC: 今年度はがんセンターから肺がん、希少がんなど約200例を実施予定。
現在は全ゲノム解析ができるか検査のフィージビリティを確認している段階。来年度はターゲットを絞ってプロジェクトを進めていく。我々としては希少がんの患者を登録したいと考えている。

Q: MKPでゲノムの解析が終わった患者さんの臨床的なデータは、ファーストライン、セカンドライン早い段階でとらえているのだろうか?
NCC: ケースバイケース。ホルマリンで固定された組織標本の保管状況によるため、条件を満たしていないと検査自体ができない。患者さんの組織提供に関する同意も関連する。タイミングの問題だが、パネル検査は1カ月で治療に活用できるが、全ゲノム検査は研究に参加して結果が得られるまでに半年ぐらいかかる。全ゲノム検査に参加してすぐに情報が欲しいというのは難しいので、なるべく早く研究に参加しておいた方がよい。

今後の抱負について

NCC: 日本を含めたアジアの患者さんが共通で有している課題について効率的にエビデンス創出を行う仕組みがなかった。最終的には日本を含めアジアの患者さんのために当たり前のようにアジア共同試験ができるプラットフォームにできればよいと思う。日本の薬事承認と同じような希少がんのジレンマがアジア圏でもあるということがわかり、同じ土台に立っている。一丸となってやっていくことが一番の早道かと思う。

NCC: 地域の希少がんの患者さんにもMKPがどこで実施しているのかを明確に実施施設をご案内いただけるとよい。国内とアジア展開を連動しながらMKPを活発化させたい。

以上です。